ヤフオクで購入したカートリッジに、アームとの接合部にあるはずの「ゴムワッシャー」が付いていなかった。
そういえば、1970年代のオーディオブームの時「質実剛健」が流行ったとき、ゴムなどの「柔らかいもの」は諸悪の根源とされた時があった。
当時は「カーボンファイバー」はまだ一般的でなく、固い=重いだった。
ヘッドシェルの接合部の「ゴムのワッシャ」を外すのが流行っていた。
代わりに「金属のワッシャ」を入れていたのだが、どうしても「厚く」なってしまうので、うまく装着できないことが多く、あまり流行らなかった。
ヤフオクで「ゴムワッシャ」を探していると、「カーボン製」のものが目にとまった。
安価だったので注文してみた。
使ってみた感想は、音に関しては「よく分からない」のが本当のところだが、シェルを締め付けるときの「感覚」はしっかりしたような気がする。
本来は「ゴムワッシャ」が入るように設計されているのだから、適切な「厚み」のものが入ることは悪くないと思う。
しかも材質的には悪くないものなのでよい買い物だったと思う。
カーボンファイバーは日本が発明したらしい。
日本の古い建物に使われてきた「土壁(つちかべ)」が元で、粘土質の土に水と藁すさを混ぜ合わせる技術を応用したものだ。
カーボンには「ドライカーボン」と「ウエットカ―ボン」の2種類がある。
- ウエットカーボンはシート状(極薄の紙)のようなものに「接着剤(ポリエステル)」をしみこませて、積層・成形して自然乾燥させたもので、「ガラス繊維のグラスファイバー(FRP)」と同様の製法で作られたもの。
- ドライカーボンは接着剤に「熱硬化型のエポキシ樹脂」を使い、「オートクレーブ(窯のようなもの)」で高温にして硬化させる。
ウエットカーボンはFRPの80%くらいの重量だが、ドライカーボンは3分の1程度の軽さになる。
価格的にはドライカーボンがはるかに高価になる、
自動車の外装に使われている「カーボン部品」の80%~90%はウエットカーボンらしい。
F1のシャシーは、F1がすっぽり入る大型の「窯」に入れて作られている。
今回の「ワッシャー」はドライカーボン製なので、なぜかF1を連想してうれしくなってしまう。
ついつい「レコードスタビライザー」を買ってしまった。
「重い」ことに意味のある「スタビライザー」を「軽さが売り物」のドライカーボン製であることに意味があるかはこの際関係ない。
オーディオは雰囲気が重要である。
このドライカーボン製の「ワッシャ」と「レコードスタビライザー」、昔のオーディオブームのころだと相当高価なものになっていたと思う。
マイナーな趣味の「オーディオ」も未だに一部では盛り上がっていることを感じた。