独特の静けさを持つプレーヤー CEC STー930
二階建てのシャーシに電源部も別体式、
そのためCD並みのS/N比が特徴のプレーヤー。
実際にこのプレーヤーで聞くと、他のプレーヤーより「静けさ」を感じる。
最近、アームをデッドストックの新品と交換したのでメインで使っている。
しかし、気になる点もある。
見た目に「華」がないのである。
ラックスマンのPD-441.PD-131やPROJECT RPM9.2evo、 DENON DP-3000などと比べて、精密機械の持つ「何か」が欠けている気がする。
ターンテーブルはいくら磨いても「角」のダイヤカット?の部分が輝かない。
ラックスマンの2台は、当初ST-930より酷い状態だったのだが、磨くと綺麗になった。
だがST-930は何故か今一つ「垢抜けない」気がする。
材質が違うのか、仕上げのレベルが低いのか、何かが違うのである。
他にも、ターンテーブルの裏に「制震」のためにテープ状のものが貼ってあるのだが、その貼り方が「丁寧でない」のだ。
良い方に考えるとタイヤのバランスウエイトの様に、ダイナミックバランスを取るために少しずらして貼ってあるのかとも考えられるが、そこまではしていないと思う
軽いテープの貼り方でバランスが狂うことはないと思うが、「それくらいは問題ない」と思われることを追及しているのがオーディオの世界ではないだろうか。
ダストカバーも凝った造りだが材質が柔らかいため、磨いても透明感がでない。
ダストカバーの「ヒンジ」がないので乗せるだけだが、その方法に何の工夫もないので細心の注意をして被せないと乗せたときに「カン!」と安っぽい音がしてしまう。
ST-930がまだ現役の頃に、あるオーディオ評論家(当時は評論家の意見は絶対だった!)が「加工精度が悪い」と酷評していたのが分かる気がする。
確かに、現在の樹脂だらけのものと比べるとダイキャストと無垢の木の二階建てのボディで高級感があるが、細部の仕上げがオーディオ全盛期の力の入ったものと比べると見劣りする部分がある。
プレーヤー本来の性能の「音」に関しては問題ないどころか、「とても良い」ので残念である。
レコードが衰退しCDが絶頂期になった頃に発売されたのも影響しているのだと思う。
企画・設計は良かったのだが、製造コストを低く抑える必要があったのかもしれない。
しかし「音」は文句ないし、今でもメーカーが正式にメンテナンス(2018年4月にメンテンス実施)してくれるのはとてもありがたいし、ベルトも買える。
「ダイレクトドライブ」のように専用の「IC」や「水晶発信器」を使っていないので末永く使えると思う。
何より他のプレーヤーにはない「静けさ」を持っている。
これからも大切に使っていこうと思う。