ガンメタリックのパネルに、大型メーターの独特のデザインのアンプ
SONY TA-F6Bはガンメタリックのパネルに大型のメーターが付いた、デザインが素晴らしいアンプ。
パネルの色はSONYの高級機の証しの「ガンメタリック」、今の「チタンブラック」にあたるのだろうか。
つまみ類はすべて「削り出し」で、丸いつまみは「ヘアライン」「ローレット」「ダイヤカット」と手間のかかる作りで高級感がある。
パネルの文字はシルク印刷ではなく、すべて「掘り込み」で塗料を流し込んである。
日本国内ではそれほど人気がなかったが、海外ではそこそこ売れたらしい。
ヤフオクでも根強い人気があり、定価の6割で手に入れた。
このアンプは、現在のデジタルアンプでおなじみのスイッチング電源を、「パルスロック電源」の名前で初めて製品化した。
他のメーカーでも、ヤマハが「X電源」という名前で何機種か搭載していたが、いつの間にか消えてしまった。
当時は「重い」ことが正義だったので、強大なトランスを使った電源が好まれたのだろう。
美しい大型のメーターは、通常とは異なり針が上下が逆で支点が上になっている。
照明の色は「電球色」、当時はこの「電球色」が普通で「白い光」がオシャレだった。
YAMAHAのNS-2000などは「電球色」を何とか白く見せようと電球を青く塗って「緑白?」の色で、それに憧れていた。
当時はどこを見ても「電球色」ばかりで「白い光」に憧れたのだが、現在は暖か味のある「電球色」がおしゃれに感じてしまう。
古いアンプを修理する際に、世紀の大発明の「白色LED」を使えばよいのに何とか古い電球を探しているのが現状だ。
「電球色」のLEDもあるが、温かみが感じられず本物の「電球」にはかなわない。
YAMAHAのアンプでおなじみの「平たい」セレクターレバーは、対抗心からか「横向き」についている。
今は「オシャレ」に感じるが、当時は「なんかおかしい」と思われたのが人気がなかった原因だろうか。
ボリュームノブは凝った削り出し、「アッテネーター」タイプだが、9時の位置までは「クリック」が付いていない、「クリック」があると小音量時の調整を考慮した心憎い配慮だ。
当時の雑誌に、「トリオのアンプはクリックが32ポイントで小音量時の調整が難しい」と書いてあったのが思い出される。
音は、締まった低音に明るい高音で聞いていて楽しい。
当時のSONYの責任者が「バロック音楽」が好きだったことが影響しているのか「ソニー・トーン」として知られていた音だ。
いわゆる「HIFI」ではないのだが、「聞いてみたくなる」音だ。
アンプは高級になればなるほど「味が薄く」なってしまい、「いいなぁ」とは思っても「聞いてみたい」とは思わない。
「高級料理」と「ジャンクフード」の関係と同じことなのではないかと思ったりする。